連載コラム「谷山浩子 Favourite Things A to Z」

W WINDOW

「P」で選んだのが「Pinterest」だったのですが、そのPinterestで、窓とドアの写真を集めるのが好きなんです。集めていて思ったんですが、どうやら世界的には、ドア好きの方が多いようですね(笑)。きれいなドアや不思議なドア、世界中にはいろいろなドアがあるんですよ。私はドアよりも、窓が好きです。

何でドア好きが多いかというと、ドアは人間が出入りするので、外部との関わりが強い、つまり現実との繋がりが強い人じゃないかと思うんです。人好きの人が多いような気がします。それに比べると、窓というのは、同じ出入り口だとしても、人が出入りする場所ではなく、風を入れるとか、景色を見るとかそういう役割が多いと思うんです。私自身が、インドア派なので、外に出るのがあまり好きじゃないというのもあるかもしれません。

ビルゲイツの休暇というのを、何かで見たんですが、ミニ・クィーンエリザベス号のような豪華客船に乗って、エーゲ海かどこかでマリンスポーツをやるという休暇だったんです。それを見ていて、何ひとつうらやましい要素がなかったんです。夏にリゾート地に出かけ、海でマリンスポーツをやるだなんて、ギャラをもらってもやらないですね(笑)。

それを見ていて、もし、私がビルゲイツだったら、どんな休暇を過ごすか考えたんです。3階建ての吹き抜けの家に、床から3階までの窓が1面だけあって、その窓は森に向いている。外には雨が降っていて、窓以外は一面本棚で、そこに寝椅子を置いて本を読むという休暇です。良く考えたら、ビルゲイツじゃなくても出来るかと(爆)。

私は大きな窓が好きみたいです。海も好きですが、大きな窓越しに見る海が好きです。旅館などで、2面全部が窓でそこから見える海も好きです。ビルゲイツだったらそういうところに泊まります。だから、ビルゲイツじゃなくてもできるっていうの!(笑)つまり、窓越しに見える外部の世界が好きなんだと思います。

Windowsはよく出来たネーミングだと思いますね。パソコンの前に座っていて、世界中を覗ける窓ですからね。たまに、Windowsに景色だけを映しっぱなしにしておく時もあります。

X ×

バツ

Xはイマイチ思いつかなかったので、×(バツ)にします。つまり苦手なものです。苦手な物の殿堂入りは「ゴキ(ゴキブリ)」です。 昆虫が苦手というわけではないんですがゴキがダントツです。昔は平気だったんですが、高校生くらいからダメになったような気がします。建物が近年はすごく清潔になってきたんで、そういうところに突如現われるから、ギョッとするのかもしれないですね。

あと、×(バツ)なものは、いきなり「わっ!」という感じで、脅かされることです。だからホラー映画が苦手なんです。じわーと怖いのはかなり平気な方なんですけど、いきなり脅かされるのはホント苦手です。

他には、早起きと午前中が苦手で、学生の時も決まった授業ばかり遅刻するので、単位を落としそうになりました(笑)。だから高校を卒業した時はすごく嬉しかったのを覚えています。こういう仕事をしていなくても、朝起きなければいけないOLさんのような仕事は絶対に出来ないと思います。ドラマ「アオイホノオ」が好きなんですが、主人公(ホノオ モユル)が出版社に原稿を持ち込むシーンがあって、午後の2時に訪ねて行くと、ほとんどの人が出社していないんですね。それを見た時にもしかしたら、出版社だったら働けるかもしれないなと思いました(笑)。もちろん出版社の方とはお付き合いがありますので、大変なのはよくわかっているんですけど。

×(バツ)だったのに、○(マル)になったのはコンサートです。「コンサートさえなければ私の人生はどんなに楽だったろう」と思っていた時期があったんです。15歳の時に初めてやったコンサートは、トークがまったくなしの、曲紹介しかしないコンサートでした。今だったら、そんなコンサートは逆に耐えられないと思いますけど(笑)。「101人コンサート」を始めるようになって、お客さんの顔が見えるようになって、だんだんコンサートは好きになっていきました。

Y YUME

中一のとき学校の図書室で宮城音弥さんの「夢」という本を見つけて読んだんです。宮城さんは、心理学者で夢の分析についていろいろ書いていらっしゃる方なんですが、その本で、文章に書き起こされた「夢」というものを初めて読んで、面白いなと思ったんです。それがきっかけで「夢」に興味を持ち、フロイトの「夢分析」なども読みました。

その影響からか、高校生の頃から「夢日記」をつけるようになりました。最近はつけていないんですが、かなり長い期間、夢を採取してきました(笑)。意識していると、夢を覚えていられるようになるんですが、起きた瞬間に夢を反復しないと忘れてしまうんです。

私が、若い頃によく見た夢は死刑になる夢でした。でも夢は分析はしないほうがいいとされているので、分析はしていません。私の夢は色付きで、食べ物の味もわかるんです。美味しい物の味も、変な物の味もわかるんですよ(笑)。長い間、夢日記をつけていると、夢自体が長くなって、夢の中の風景が鮮やかですごく綺麗になってくるんです。

夢で見たことをそのまま歌にしたのは「仇」という曲だけなんですが、「悪魔の絵本の歌」という曲の「悪魔の絵本」は夢の中に実際に出てきたものなんです。20代の頃に見た、大学の正門の前で「悪魔の絵本」を実際に売っているという夢でした。夢の中では私は絵本を買わずに、その横をスーッと横切りましたけど(笑)。20代の頃の夢は大学ノートにびっしりと書いてあります。ひとつの夢で、5ページくらいの夢もありました。

夢日記をつけなくなって改めて思ったんですけど、現実の世界よりも夢の世界の方が楽しいですよね。何故かと言うと、現実の世界ではもし行けたとしても、地球上のどこかじゃないですか。でも夢の世界はもっと自由だし、実際に存在しない場所に行けるところが楽しいと思うんです。

Z ZATSUDAN

雑談

若い頃はライブ中にトークをすることが苦手で、すごく悩んでいました。でも、それをMCということではなく雑談に近い方向にシフトすることで、やっと自分の持ち味を出せるようになりました。

私のライブの原点は小室等さんで、10代の頃、小室等さんの追っかけをしていていたんですが、あの頃のフォークの人たちってトークがすごくラフだったんですよね。格好もラフでしたけど(笑)。その自由なスタイルが本当の意味でのライブだと思うんです。厳密に言うと、決められたものをやるのはライブじゃない。本来のライブというのは何もないところに出て行って、自分の中から沸き起こるものを表現するものですからね。

トークの苦手克服が決定的になったのは、ラジオの「オールナイト・ニッポン」です。構成の寺崎要さんはとても厳しい方で、事前にハガキを読んでしまうと面白くなくなってしまうから、という理由でリスナーから来たハガキを事前に見せてくれなかったんです(笑)。生放送ですから、事前にハガキをまったく読んでいないと、思いがけないリアクションをしたり、ハプニングもあるんですよ。そんな感じで生放送をやっているうちに、だんだん楽しくなってきて「あ!これがライブなんだ!」ということを理解できるようになったんです。

その後、「101人コンサート」を始めるようになって、ファンでないお客さんの前でトークをするようになって、ずいぶん鍛えられました。あのコンサートを機に、今のトークの方向性が決まっていったように思います。そうです、トークが行き当たりばったりになったんです(笑)。